福岡で開催された講演会に行ってきました。
九州大学の皮膚科教授である古江先生のご講演でした。
アトピー性皮膚炎に関するお話で、タイトルは「アトピー性皮膚炎におけるOVAOL1転写因子の役割と応用」
難しいタイトルですが、要は保湿に関する話です。
元々アトピー性皮膚炎の患者さんはフィラグリンという保湿に係る遺伝子に異常があることがわかっており、そのために乾燥肌になり、湿疹を繰り返すようになります。
OVAOL1はそのフィラグリンの機能を正常に戻すことができる因子で、この因子を活性化させれば保湿機能が戻り、炎症の起こりにくい肌質になるわけです。
実はかなり以前より存在していたグリテール(大豆から抽出したコールタール)という外用剤がこういった保湿に係る因子を活性化させ、根本的な保湿機能を高めることがわかってきました。
ステロイド軟膏が皮膚炎の治療の主流になるにつれて使用頻度が少なくなってしまったようですが、最近のこういった研究結果を踏まえて、改めてグリテールの使用が増えるかもしれません。
当院でもすでにグリメサゾン軟膏といってグリテールとデキサメサゾンといって弱めのステロイド剤が配合された軟膏を皮疹の落ち着いてきた患者さんには処方しております。
気になる方はご相談ください。